今回はチビコリの中でも特に人気のあるコリドラスハステータスの繁殖についてお話してみたいと思います。
ハステータスは美しい群泳が魅力の1つだったりします。その群泳を見るためにも1つの水槽に10匹以上は飼育したいところですが、意外と流通量が少ないんですよね。
しかも最近は少し値上がりしているのか、1匹1000円くらいするので大量に入手するのも難しい・・・
それなら自分で繁殖させてしまいましょう!
僕自身、アクアショップでワイルドのハステータスを8匹ほど購入し、そこから累代を重ねて増やしまくってきました。
ハステータスの繁殖はコツさえ掴めば簡単ですので、ぜひ挑戦してみてください!
コリドラス・ハステータスの基本情報
まずはハステータスの基本情報を押さえておきましょう。繁殖させたい熱帯魚の情報は繁殖だけでなく、飼育のヒントになることもありますからね!
コリドラスハステータスのサイズ
コリドラスピグミーやハブローススなど他のチビコリと同程度で、成魚でも約2.5~3cm程度にしかなりません。ただ、小さいからと言って、
・病気になりやすい
・水質に敏感
などといったこともなく、他のコリドラスに比べて特に弱いといった印象はありません。
ただ、体が小さいので他の熱帯魚と混泳させる際には注意した方がいいかもしれません。ハステータスにしっかり餌が行き渡るような与え方や、口に入る大きさの餌を用意するなどの工夫が必要です。
繁殖を狙う場合は単独飼育にするといいでしょう。
ハステータスの寿命と成魚までの期間
平均寿命は1.5~2年ほどと、他のコリドラスより短めです。
ただその分成長も早く、僕の経験だと生後6~8ヶ月ほどで産卵できるようになります。ウチではF2(2代目)まで累代しているのですが、環境が整うと短いスパンでドンドン増えていく感じです。
ハステータスの原産地について
どこまで正確かはわかりませんが、僕が調べた限りの原産地情報はこんな感じです。
- 生息地:ブラジル南部のパラグアイ川
- PH:7前後(弱酸性 or 弱アルカリにもなり、振れ幅が大きい)
- 水流:穏やか
- 水温:24℃前後
- 酸素量が多い
- クリアウォーター(きれいな水を好む)
コリドラスは一般的に「弱酸性の軟水を好む」と言われていますが、ハステータスにはあまり関係なさそうですね。僕自身、ハステータスの繁殖水槽のPHやGHは全く気にしていません。
水温は他のコリドラス同様、22~26℃ほどで良さそうですね。夏場の水温28℃ほどでもバンバン産卵するので、あまり関係ない気もしています。
個人的にハステータス飼育で意識しているのは、
- 水流を緩やかにする
- 綺麗な水を保つため、こまめに換水する
- エアレーションをして溶存酸素量を多くする
この3点くらいです。
ハステータスの繁殖方法
ここからは、ハステータスの繁殖方法についてご紹介したいと思います。まずは飼育環境から!
繁殖を狙った飼育環境について
こちらが3~4日置きに産卵しまくっているハステータスの水槽環境と飼育方法になります。
- 水槽サイズ : 45cm(450×300×300)
- 飼育数 : 約20匹(オスメスの比率は不明)
- 水温 : 26℃前後
- 餌 : 1日3回(グリンダルワームは2日に1回)
※「冷凍アカムシ / グリンダルワーム or グロウC / ファンチップス」 - フィルター : 底面×2 / スポンジ×1 / 外掛け×1
- 底床 : 大磯砂(0.7~1分)
- 水換え頻度 : 3~4日に1回(約1/2換水)
- 水草 : アナカリス×20本くらい
- その他 : ラムズホーン(残餌処理用)
少し過剰なろ過のような気もしますが、底面フィルターとスポンジフィルターはエアレーションの役割もあるので多めに入れています。吐出口の向きや位置を工夫すれば水流も調整できますしね。
水草はウィローモスやアヌビアスナナなども試しましたが、今のところアナカリスに落ち着いています。
「ストレス軽減」「水質浄化」「産卵床」などの効果も期待できますし、水面に浮かばせておくだけなので「メンテナンスが簡単」「水槽内を観察しやすい」という部分もお気に入りの理由です。
ハステータスの産卵トリガー
僕はハステータスに産卵を促す最強のトリガーはグリンダルワームだと思っています。
「ハステータスが過ごしやすい環境を作り、グリンダルワームを与える」
正直、これだけで面白いように産卵します。
※活イトメの方がいいかもしれませんが、入手や保存が難しいですしね。グリンダルワームは培養も簡単ですし、活イトメより小さいのでハステータスには最適かなと。
・大量換水でPHショックを与える
・一気に水温を下げて刺激する
など、一般的なコリドラスの産卵促進は不要だと思っています。
ホントこれだけです。
僕はこれまで「ショップで購入したワイルド個体 → その子ども(F1) → その子ども(F2)」と累代させてきましたが、いつも産卵トリガーはグリンダルワームです。
ハステータスの産卵を狙っている場合は、ぜひ試してみてください。
ハステータスの産卵周期
以下のデータは過去3ヶ月のハステータスの産卵日です。
7月3日 ← ここから1日置きにグリンダルワーム給餌開始
7月6日 ← 産卵開始
7月11日
7月15日
7月20日
7月23日
7月25日 ← グリンダルワーム給餌停止
7月29日 ← この日を最後に産卵止まる
8月26日 ← ここから1日置きにグリンダルワーム給餌開始
9月2日 ← 産卵開始
9月9日
9月12日
9月19日
9月21日
9月23日
9月27日
9月30日
10月2日
10月3日 ← この記事を執筆中
この3ヶ月間、水換えや給餌の量や頻度は変えていません。違うのはグリンダルワームを与えたかだけです。
いかにグリンダルワームが効果的かわかるデータかと思います!
コリドラス・ハステータス稚魚の育成方法
コリドラス・ハステータスは成魚でも2.5cmほどにしかならない、いわゆるチビコリと言われるコリドラスですが、稚魚もめちゃくちゃ小さいです。
他の稚魚よりもかなり弱いので、僕も育成に慣れるまでは
- せっかく孵化したのに数日でポツポツ落ちてしまう
- なかなか大きくならない
といった状況でした。
最近は随分と生存率を上がってきたので、ここからはその辺りのコリドラス・ハステータス稚魚の育成方法についてお話してみたいと思います。
コリドラス稚魚育成の基本的なことについてはこちらもどうぞ!
ハステータスの稚魚は弱い?
ハステータスの稚魚はとても小さくて弱いです。僕の実体験だと、1ヶ月生存する割合は、
- コルレア:約98%(100匹孵化して落ちるのは2~3匹くらい)
- ピグミー(チビコリ):約90%(100匹孵化して落ちるのは10匹くらい)
- ハステータス:約75%(100匹孵化して落ちるのは25匹くらい)
これくらいでも良くなった方ですが、とにかくハステータスの稚魚は油断するとすぐに落ちます。
安定するまでの目安
ここからはハステータス稚魚の成長記録を見てみたいと思います。
まずは孵化後、約3時間のハステータス。
とにかく細くて小さいです。ヨークサックが付いている状態でも、底床が汚れていたりすると落ちます。
続いて孵化から7日後のハステータスがこちら
少し大きくなり、線も太くなってきました。
ブラインシュリンプを食べるとお腹がピンク色になるのを確認できるようになるので、餌を食べてるかわかりやすくなります。
続いて孵化から15日後のハステータス。
この1週間で随分大きくなりました。とはいえ、まだ油断するとあっさり落ちるので全く油断はできません。
最後に孵化から26日後のハステータス。
全長だけでなく体高も伸びてきて、少しずつ成魚っぽい見た目になってきました。ここまで来るとそうそう落ちることはなく、完全に安定したと言えるでしょう。
「いかにたくさん餌を与えて、早くこのくらいまで大きくするか?」
これがハステータス稚魚育成の大きなポイントだと思います。
ちなみに生後1ヶ月を過ぎた辺りからは成魚と同じ様な見た目になってきます。
ハステータス稚魚育成の注意ポイント
ここからは僕がハステータス稚魚の育成で特に気をつけているポイントを4点ほど紹介します。
他にも良い方法があると思いますが、これら4つを意識することで格段に生存率がアップしました。参考になる部分があれば、ぜひ取り入れてみてください!
ポイント1 常に底床を綺麗に保つ
これは他のコリドラス稚魚にも言えることですが、特にハステータスは底床の清潔さが重要だと感じています。
底床が汚れているだけでハステータスの稚魚はあっという間に落ちてしまいます。
底床を綺麗に保つために僕がやっているのは、
- 給餌から1~2時間後に残っている餌をスポイトで吸い取る
- ヨークサックが取れて給餌開始のタイミングで必ずラムズホーンを入れる
※サテライトMなら5匹、サテライトLなら10匹程度
ラムズホーンのフンは残りますが取り除きやすいですし、そこまで気にする必要ありません。とにかく重要なのは残った餌を放置しないことです。
ポイント2 水草を多めに入れる
ウチのサテライト水槽では大体10本ほどのアナカリスを浮かべているのですが、水草を入れることで以下のような効果が期待できます。
- サテライトの排水口に水草があることで水流を弱められる
※流量はそのままに水流を弱めるのに有効 - 微生物が湧いて、それが稚魚たちの餌になる
- 稚魚たちのストレス緩和
- 水草の茂みによる隠れ家ができる
このように水草を入れるメリットはたくさんあります。浮かばせておくだけで良いので、ぜひ水草を投入してみてください。
ポイント3 ブラインシュリンプを1日2回与える
1日1回のブラインシュリンプ給餌でも餓死することはないと思いますが、1日2回与えた方が断然成長が早くなります。
先述の通り、ハステータス稚魚はいかに早く大きくして安定期にするかが生存のポイントですから、時間などに余裕があれば1日3~5回ほど与えた方が良いでしょう。
孵化から3週間くらい経てば人工餌やアルテミア100(殻無ブライン)も組み合わせていいですが、それまでは生きたブラインシュリンプ一択かと思います。
ポイント4 サイズごとにまとめて育成する
同じ日に生まれた稚魚でも、しばらくすると成長に大きな個体差が現れてきます。どんどん大きくなるコもいれば、なかなか成長しないコもいたり。。
そんな場合はサイズが同じ稚魚同士をまとめて飼育した方が成長が早くなります。
大きい個体と小さい個体を同じ飼育ケースで育成すると、小さい個体はなかなか大きくならないんですよね。で、小さい個体はいつまで経っても安定する大きさにならず落ちていくと。。
少し面倒ではありますが、確実に成長させたい場合はサイズごとに分けて育成するのがオススメです。
まとめ
コリドラスハステータスの繁殖方法&稚魚育成方法を僕の経験を元にお伝えしてみましたが、いかがだったでしょうか?
- 環境を整えて健康的に育てる
- 産卵させたくなったら活餌(イトメやグリンダルワーム)を与える
- ハステータスの稚魚は弱いので安定期(孵化後3週間ほど)まで早く乗り越える
ハステータスの繁殖はこれらを押さえればOKと言えるくらい、コツを掴めば簡単な部類だと思います。
もちろん「これが正解!」というわけではありませんが、何か1つでも参考になる部分があれば嬉しいです!
ハステータスは群泳が大きな魅力の1つですので、ぜひドンドン増やしていってくださいね。
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