先日の記事で、コリドラスの産卵誘発などについてお話しました。
無事に産卵したら、次は
- その卵をどうすればいいのか?
- 隔離方法は?
- カビてしまうんだけど、、、
- 全く孵化しないんだけど、、、
みたいなことに悩まれると思います。
僕も卵をカビさせて全滅させたり、全滅とまではいかないまでも、もっと孵化率が良い方法はないかと色々試してきました。
ということで今回は「コリドラスの卵が孵化するまでの管理方法」について僕の経験を元にお伝えしてみたいと思います。
「そもそも産卵しないんだけど!!」という場合は、こちらの記事を読んでみてください。
産卵後の稚魚育成についてはこちら↓
では行ってみましょう!!
コリドラスの卵を隔離しよう
コリドラスを意図的に繁殖させたい場合、卵を隔離して孵化させる必要があります。そのまま親水槽の中で卵を放置していると、卵や孵化した稚魚が食べられたり餌不足で餓死してしまう可能性が高いからです。
中には自然と孵化してそのまま大きくなる子もいますが(そんな屈強な子たちを”野良”なんていいます)
ただ確実に繁殖させたいなら必ず卵を隔離して、ある程度の大きさになるまで隔離水槽で飼育するのがオススメです。
卵が産み付けられる場所
まずは卵を見つけて取り出すところから始まるわけですが、コリドラスが卵を産み付ける場所は様々です。
一般的な産み付け場所は、
・水槽の壁面
・水草
・ヒーターやフィルター
・底床にばらまき
こんなところでしょうか。
メスにも好みがあるようで、
・水流がある投げ込み式フィルター付近の水槽壁面にばかり産み付ける
・水槽壁面ではなく、水草の裏側にばかり産み付ける
などの個体差があるケースが多い気がします。
今まで水草にばかり産み付けていたのに急に水槽壁面に卵がびっしり付いていたら、「違うメスも産卵し始めたのかな?」みたいな目安にもなったり。
ということで産み付ける場所は様々なので、1つでも卵を発見したら水槽内をくまなくチェックしてみましょう。
ちなみに卵のサイズはコリドラスの種類によって様々です。
ピグミーやハステータスのようなチビコリの卵は気泡と間違うくらい小さいですし、コルレアのような一般的なショートノーズはその3倍くらいの大きさでしょうか。
同じショートノーズでも卵のサイズは違ったりしますが、一度でも実物を見ればすぐに認識できると思います。
【コリドラスハステータスの卵】
【コリドラスコルレアの卵】
採卵方法について
卵を発見したら、できるだけ早めに隔離していきます。
ただ、コリドラスが産卵活動をしている場合は終わるまで待ちましょう!Tポジションとかしている時に水槽に手を突っ込むとかストレスになりますからね。
産卵活動は「Tポジション」や「メスが腹びれに卵を抱えている」「いつもより落ち着きなく動き回っている」みたいな、通常時とは違う様子で判断できるかと思います。
コリドラスの様子が落ち着いたら採卵していくわけですが、卵の取り方は方法は簡単で
・指で取る
・筆などで取る
このいずれかでいいかなと。
卵を意図的に潰そうと力を入れる場合は別ですが、普通に触る程度の力加減なら潰れたりしません。産み付けられたばかりの卵には粘着質があるので簡単に採れなかったりするのですが、少し強引に指で剥がしても大丈夫です。
ちなみに僕の場合は、
チビコリの採卵=筆先で採る
ショートノーズの採卵=指で直接採る
こんな感じで採卵しています。
チビコリの卵は小さいので、1個ずつ手で採るのが難しいからです。ショートノーズ系の卵はある程度の大きさがあるので、手で直接採った方が早いです。
孵化率を上げる卵の管理方法
ここからは、僕の経験でしかありませんが試行錯誤した上で今現在行っている卵の育て方をお伝えしたいと思います。
①卵を隔離容器の壁面に貼り付ける
産卵直後の卵は粘着力があるので、簡単に隔離容器の壁面に付けることができます。(産卵から時間が経つごとに粘着力がなくなるので、壁面に付かなくなります)
卵を壁面に付けるのは面倒ですし慣れるまである程度のコツが必要だったりするので、僕も最初は採卵した卵をそのまま無造作に隔離容器に沈めていました。
ただ、明らかに壁面に付けた方が孵化率が上がると実感しています。その理由もあるみたいなのですが詳しくはわかりません。とりあえず、コリドラスの卵は隔離容器の壁面に付けましょう!
粘着力がない卵は頑張っても壁面に付かないので、下に沈めてOKです。
②隔離容器はサテライトを使う
サテライトを使う理由は孵化率を上げるためではなく、孵化後の稚魚育成が楽になるからです。卵の管理自体は「プラケース」「タッパー」など何でもOKです。容器による孵化率の違いはありません。
ただ卵の段階からサテライトで管理すると、その後の「水合わせ」や「プラケースからサテライトへの稚魚の移動」などの面倒な労力がなくなるので良いかなと!
③隔離容器の水質・水温の管理
卵の管理に関して、これまで様々なことを試してきました。例えば、
「メチレンブルーを入れる」
「サテライトを回して常に親水槽の飼育水を循環させる」
「カルキを抜かず、水道水を使いつつ水質が悪化しないようにエアレーションする」
などなど。
様々試した結果、現在は「水温を一定に保った状態の水道水(カルキ入)で、エアレーションせず放置」という結論に至りました。水換えなども一切せず、孵化するまで文字通り放置です。
採卵から孵化までの水温を一定に保ちたいので「採卵前に水道水を隔離容器(サテライト)に入れて水温合わせしてから、卵を壁面に貼り付ける」ということは意識しています。
冷たい水道水をそのまま隔離容器に入れて卵を貼り付け、水槽に浮かべるよりは孵化率が上がった気がしています。(細かくデータを取っているわけではないので、あくまで体感レベルですが、、)
また、水温を一定に保つために隔離容器は親水槽に浮かべています。
④卵のカビ対策
コリドラスの卵が孵化しない一番の原因は「白カビ(水カビ)」だと思います。卵の周りに白いモヤモヤみたいなのがつくアレです。
カルキ抜きしていない水道水には消毒効果があるのでカビの発生を抑制してくれます。「飼育水なら1日でカビたところを、水道水なら3日はカビなかった」みたいな。
とはいえ水道水でも安心できるわけではなくカビる時はカビます。数日経つとカルキも抜けてしまいますからね。
ということで卵のカビ対策をしていきましょう。
無精卵と有精卵の判別方法
カビが発生する卵はほぼほぼ無精卵ですが、無精卵で発生したカビが有精卵に移ってしまうと、そのまま有精卵までカビて孵化しなくなってしまいます。そこで、まずは無精卵を取り除くことが大切になってきます。
無精卵と有精卵は卵の色で判断するとわかりやすいです。具体的には、
「産卵時:透明 → 産卵1~2日後:白」 = 無精卵
「産卵時:透明 → 1~2日後:飴色 → 3~4日後:黒」 = 有精卵
こんな感じです。
卵の成長速度はバラバラなのであくまで目安ですが、「白くなったら無精卵」というのは確実なので早めに取り除いていきましょう。
無精卵の孵化率は0%ですしカビの原因になるので、放置して良いことは1つもないですからね。
透明で判別できない場合はそのまま様子を見ると良いと思います。
卵を離して壁面にくっつける
無精卵にカビが発生してもそのカビが有精卵まで移らなければ大丈夫です。なので卵はそれぞれ離して隔離容器の壁面にくっつけましょう。
壁面につかない場合でも、卵単体をそれぞれバラバラにして距離を離すのが重要です。またカビた卵を発見した場合はすぐに取り除きましょう。
コリドラスの卵が孵化するまでの日数と経過
ここからはコリドラスの卵が何日でどのように変化していくのか、実際の写真を見ながらお伝えしたいと思います。
産卵から1日目はほぼ変化がないので、2日目から記録しています。
コリドラスコルレアの卵 産卵から1日後
白くて無精卵っぽいのも出てきましたが、まだそこまで変化がなく透明な状態なので無精卵 or 有精卵を判断するのは早いかな~という感じです。
本来ならここで無精卵っぽい卵は全て取り除きますが、今回は一旦放置。
コリドラスコルレアの卵 産卵から2日後
ここで明らかに卵の色に変化が出てきました。
「中段の左から4つ目は白くなっているので無精卵」
「下段の左から2つ目は薄っすらカビが発生しているので無精卵」
「下段の左から4つ目・上段の右から1&2は飴色なので有精卵」
まだそこまで大きな変化がなく曖昧な卵は様子見しますが、この段階で明らかな無精卵は全て取り除いていきます。
判断を間違えて有精卵まで取り除く可能性もありますが、無精卵が疑わしいものは惜しまず全て取り除くことが重要です。
コリドラスコルレアの卵 産卵から3日後
この辺りになると、卵の色が「白(無精卵)」「まだ透明」「飴色(有精卵)」「黒色(有精卵)」と、画像だとわかりにくいですが肉眼だとこれらが明確に判断できるようになってきました。
この時点でまだ透明な卵がありますが、この時点で「飴色 or 黒色」になっていないということは、無精卵の可能性が高いですね。
そろそろカルキが抜ける頃なので、翌日には「まだ透明(判別不能なので放置)」な卵は一気にカビると思います。
本来はこの辺りで容赦なく透明な卵を取り除くのがベストですが、今回はそのまま様子見してみたいと思います。残った卵にカビも付いていないですしね。
コリドラスコルレアの卵 産卵から4日後
思っていたより1日早く孵化しました。卵の殻を破って孵化した跡が見られますね。たぶん、この画像を撮った数時間後には他の卵も孵化していくと思われます。
今回は卵30個、孵化12個(まだ孵化しそうな卵があるので、最終的には17個くらい?)
先述した「半透明→飴色→黒色→孵化」というのもあてにならないですね(汗)卵が黒くなる前に孵化していますし。
ただ、種類によってはすぐに卵が真っ黒になるので、今回はあくまでもコルレアの例ということで。
産卵から孵化についてのQ&A
最後におまけということで、僕が繁殖初心者のころに疑問に思っていたことを一問一答形式でお伝えしてみたいと思います。
- Q産卵から何日くらいで孵化するの?
- A
水温にもよりますが大体3~7日くらい。平均的には5日くらいでしょうか。
5日を過ぎたあたりからは孵化するか心配になってくるかもしれませんが、カビていなければ放置して気長に待ちましょう!
- Qほとんどが無精卵だった・・・
- A
無精卵が多い原因は以下のようなものかと思われます。
・初産卵などで親魚が交尾に慣れていない
・オスの栄養が足りない
・親魚が老化している
・そもそも無精卵が多い(繁殖難易度が高い)魚種
などなど。初産卵時は9割が無精卵なんてこともあったり・・・
- Q有精卵と無精卵の割合はどのくらい?
- A
魚種や健康状態、オスメスの相性によって変わってきます。
ウチの場合はコルレアが4割、ハステータスが9割くらいで有精卵になっています。また、同じコルレアでも産卵するメスが変われば7割くらいが有精卵の場合も・・・
これは感覚でしかないですが、産卵周期に入って自然と産む状態になっても活イトメを与え続けた場合は有精卵が多い気がします。たくさん栄養をとれているからでしょうか?
- Q孵化しそうなのに孵化しない・・・
- A
たまにいますよね。卵から尻尾は出ているのにそのまま孵化せず落ちてしまう子とか。。
基本的には放置して自然と孵化するのを待った方がいいですが、なかなか卵から出てこない場合はスポイトなどで軽く刺激を与えるのも良いと思います。
それでもダメな場合は、生まれてくる生命力が無かったということで諦めています。
まとめ
コリドラスの採卵から孵化までについて、実際に僕が行っている方法をお伝えしてみました。簡単にまとめると、
- 卵を見つけたら早めに採卵してサテライトに隔離する
- 水温を一定に保った水道水で管理する
- 無精卵は見つけ次第すぐに取り除く
こんな感じで、あとは放置して気長に待てば自然と孵化してくれるはずです。ぜひ、これらを参考にしつつ自分なりの孵化率が高い方法を探してみてくださいね!
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